『主と私』

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……… 全くと言っていいほど 気がついてくれない (すめらぎ)先生… このまま ずっと気がつかず 時間だけが 過ぎて行ったら嫌だな… やはり…先生を誘おう 大学の友達にも メイクのやり方や 服の選び方も良くなってきたと 言われたし 今がチャンスなのかもしれない… 今日も先生は 部屋に籠もり 机に向かって書き続けていた 私は先生の大好きな 熱いお茶を淹れ 夜食用のおにぎりを作り 先生の部屋の前にいた 一度深呼吸をしてから 扉を叩いた トン…トン… 「………」 返事は返ってこない 執筆中だからだと思う… 私は静かに扉を開けて 「先生、失礼します。」 声を掛けながら 中へと入った 先生の大きな背中が見えた… サイドデスクに お茶とおにぎりを置いた 「先生、話があります。」 声を掛けると 私の方には向かず… 「何だ?…あきら。」と言った ………
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