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店の前まで行くと喫茶店だという勘は確信に変わった。いくつもテーブルと椅子があれば飲食店で間違いないだろう。…ただ、一つ気になるものが
『ぬくもりいかがですか』という張り紙。
いやいやいやいや、この暑いのに”ぬくもり”って!
多分、冬に出してそのままなのだろう。とりあえず入ってみる。
カランカラン
ドアを開けると涼しい空気が汗ばんだ身体を冷ましてくれる。
「いらっしゃいませ」奥の厨房と思しきところから顔を出した店員は控えめに言って結婚したい。
とりあえず、適当に席に座るとメニューを確認する。お冷を持ってきた彼女にブレンドのアイスコーヒーを注文する。
「かしこまりました」丁寧な口調で答える。
「あ、そういえば…そこの」さっきのぬくもり云々の張り紙を指差す。
「ぬくもりってもう夏だから外したほうがいいと思うよ」指摘しておく。
しかし、返ってきた反応は予想していなかったものだ。
「えっお客様、気付いていらっしゃらないのですか?」何をだ
「私のこの格好で分かると思うのですが…」そう言うと彼女は腕を斜め下に広げてみせた。
…そういえばおかしい、いくら外の暑さをシャットアウトしているとはいえ厚手の長袖の上着を着ている。下も同じく厚手のパンツだ。
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