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「あれっ?」今、気づいたがワイシャツの袖をまくって露出した腕に鳥肌が立っている。なんか空気が涼しいを通り越して寒いくらいだ。
「も、もしかして…これは」
「はい、冷房強めになっています」
いやいや、これは強めじゃあすまないだろう。うぅ、寒い。急いでワイシャツの袖を戻して上着を羽織る。しかし、夏用の薄手の生地なので無いよりはマシ程度しか役に立たない。
「ご注文は以上でしょうか?」
「あ、やっぱりホットで」こんな寒いのにアイスコーヒーなんて飲めるか!
「では、ホットのブレンドコーヒーでよろしいですか?」
「それでお願いします…」少し震えだしてきた。外を半袖ハーフパンツの高齢者が通過する。いや、寒いだろ…いやいや、外は暑いのか。ガラス一枚を隔ててどっちも人間が過ごし難い環境とか頭おかしい。
「おまたせいたしました」しばらく寒さに打ち震えて数分、彼女がお盆にコーヒーと角砂糖とミルクを載せてやって来た。…天使様か。
いつもブラックなので砂糖もミルクも断りそのままコーヒーカップを口に運ぶ。温かい液体が口に広がり喉を過ぎていく。香りも味もなかなかの焙煎具合だ。
なるほど、これが”ぬくもり”っていうわけか。寒くなければぬくもりは感じられない。夏なのにぬくもりを感じられるなんてかなり贅沢なのではないだろうか。
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