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「うわぁーーんっ…こわいよう(泣)」
暗い暗い森に幼子の泣き声が響き渡っていた。
ガサッ ガササッっ
「うっ…うっっ…なに?」
ビクッ
茂みが揺れる音とその音に混じって獣の唸り声が聞こえる。
グルるるるるーーー
ガサっ!
「うわーーーんっ!!!狼だよー!!!」
「誰か助けてーー!!」
踵を返しダダーと駆ける。
狼はわかっているのか、ゆっくりと獲物を追い詰めるべく近づいてくる。
はぁはぁ息を上げながら森の中を駆ける。が、如何せん地の利は狼に有りジワジワと距離を縮めてきた。
走っている内に小さな足はもつれてしまい、盛大に転んだ。
非常事態だ。痛いなんて言っていられない。
食べられちゃうんだと思った瞬間…まだ死にたくないと強く思い、手近な折れた枝を掴み泣きたいのを我慢して狼に対峙する。
枝を掴む手はカクカクと恐怖に震えが止まらない。
視界も自身の涙でさえぎられ、ぼんやりとする。
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