野菜炒め

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 僕は今、『宇宙人』だ。無限の可能性を秘めている。  そして目の前にいる女子高生2人組は宇宙人ではない、僕にはわかる。  コンビニの袋を左手に携えて、右手で菓子パンを頬張っている。  どこかに腰かけて、落ち着いて食せばいいものを…。  あのパンは美味しく食べてもらえているのかと心配になる。  そんなことを考えている暇はなかった。僕は宇宙人だった。僕は自分の基地へ急ぐ。  商店街についた。基地に向かう途中に商店街があるのだ。  宇宙人が商店街に来ると、宇宙人であることがよく‘‘発覚‘‘してしまう。でも、僕くらいになると平気で隠せてしまう。  子供宇宙人は、つい自分から正体を明かすこともあるので、なんか微笑ましい。  余裕な表情で商店街を抜けていこうとする途中、お肉屋さんの前で足を止めてしまった  コロッケだ、サクサクの揚げたてだ。ぐうぅとお腹がなる。  「お、お兄さんもしかして…」  お肉屋さんのおばちゃんは僕に話しかける。  僕としたことが、宇宙人であることが‘‘発覚‘‘しそうになってるではないか。  でも慌てない。こんな時でも、ごまかす方法がすぐ思いつくのだ。  「あ!おばちゃん!この豚バラの細切れ100gちょうだい!」  豚バラの細切れが安くなってる。そうだ、今日のごまかし方は『野菜炒め』だ。  「ありがとね!コロッケも一個どうだい?」  いや、今日は野菜炒めでごまかそう。そう決めた。  僕は帰り道で買った肉とキャベツ、玉ねぎ、その他野菜、あとなぜか増えてしまったコロッケをもって基地についた。僕の基地はだいぶ古いけど、まぁ住み心地は申し分無い。  さっそく台所に向かう。今日の野菜炒めはどんな味付けにしようか。  宇宙の様に無限の可能性を秘めた僕の空腹。  宇宙の様に広くて空っぽな僕のお腹の中。  僕の創作意欲が掻き立てられる。  「そうだ、今日はコチュジャンを使って少し辛く仕上げてみよう。」  いっきに頭の中で野菜炒めのイメージ膨らむ。僕はこれをビックバンと名付けた。  毎日、仕事帰りに僕は宇宙人になる。  そして宇宙人はおいしいごはんを食べて幸せな人間に戻る。  でも、幸せな人間に戻ったあと、財布の残金を確認して少しショックになるのでした。
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