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日本でなじみのない鳥だというのは自負している。それでも、少なくとも『キモイ』だの『クサイ』だの『頭悪そう』だのをそれほど連呼する必要性はなかったのではないだろうか。
溢れ出しそうになる涙と鳴き声を抑えつけ、吾輩は走り出す。
どこでもいい。吾輩に優しくしてくれるところならば。吾輩の砕け散ったチキンハートを癒してくれるところならば。
そうこうしているうちに、夜も更けてきた。同時に、体力も限界。吾輩は、ちょうど目の前にあった公園へと入っていく。
ここならば、少しは休息がとれるであろう。
しかし、予想外にもそこには先客がいた。
全身にボロボロの衣服を纏い、いかにも清潔感のなさそうな風体をしている。その男はベンチに座り込み、じっとして動かない。
いわゆる、ホームレスというやつだろうか。
吾輩は邪魔にならぬよう、そっとベンチの裏へと回り込む。先客への最低限の礼儀だ。
すると、ホームレスはこちらに気付くや、そっと吾輩を持ち上げた。
こ、こら! 何をするか! 放さんか!
叫ぼうとも、ホームレスには届かない。
ただ鳴き声を上げ、身体をジタバタととさせる吾輩を、ホームレスはじっと凝視しているだけ。かなり気味が悪い。
……な、生で食おうとも美味くはないぞ?
半ば死を覚悟した吾輩。しかし、ホームレスはまだ動こうとしない。
さすがにおかしい。
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