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「……今失礼なこと考えなかった?」
「へ!?いやいや別に!?……で、そのあとどうしたの?」
驚いた……なるべく顔には出ないようにしていたのだが…
「そうそうそれでね?優花が少し考えたあと、『どっちにしろ夢叶わなかったね』って!どうゆうことか知らないけど私だって本気じゃないから!可愛い子供の夢を笑うなんて酷くない!?」
あっ……そう小さく呟きながら目の前に座る優花を見る。私と同じ事考えたんだなと思う反面、人のことは言えないがなかなかに毒舌だなと思った。
肩までの髪をゴムで纏め、前髪は2:8くらいの割合で左右に振り分けている。縁の厚い眼鏡からうける印象通りに頭もよく、このクラスでも委員長を勤めていた。
そこから放たれる上品な笑い方もあって、本当にどこかのお嬢様なんじゃないかと思う。
「そうゆう優花はもう真面目に書いてるしさ~……もうちょっと面白みがないと!」
「進路に関わるかも知れないんだから真面目に書くでしょう……真白は決めてあるの?」
「んー………私はまだかな~……」
そう言って私は、密かに手に持っていた紙を机のなかに押し込んだ。
夢の欄はもちろん空白。やりたいことも特に無く、将来自体が白黒の世界では漠然としか見えてくれない。
「やっぱそうだよねー、……あ、そろそろご飯食べない?」
「うん!あれ、優花今日はパンなんだね珍しい」
「お弁当忘れちゃってね……恵と同じもの買ったの」
「ふっふっふ……今日は甘いものなんだ~」
購買……中学校の時は給食だったし、高校からはいつも母のお弁当なのでまだ行ったことはない。
恵が席が隣の優花を連れ購買に行き、その間に私が席を作るという流れができてしまっているし行くタイミングがなくて……まあ行ったところで買うものなど無いのだが、高校らしいその響きには憧れを持つ者も多いだろう。
私も持参したお弁当を広げ、他愛ない会話をしながら食事を進める。二人とも実家がここの近いところにあるらしく、今は都会トークで盛り上がっていた。
もちろん私がその話について行けるわけもなく、黙々とお弁当のオカズを減らしていく。するとそれに気づいたのか、優花が私に話題を振ってくれた。
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