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階段をすごい勢いで駆け下りながら、私は少し葛藤していた。
部活なんて、私のような人間が易々とやって良いものじゃない。中学校の経験から敵を作らないようにしてきたのに、先輩との関わりが増えたらいつかボロが出てしまうかもしれない。
でも、勧誘している光景を見ただけで「やってみたい」と思ったのも事実。だがその好奇心が、過去の私を傷つけたのも事実。
自分を守るために好きなことをしないなんておかしい。
でもそれをやっても、自分が幸せになれるとも限らない。
心の弱さから生まれた矛盾を嘲笑うかのように、いっせいに飛び出した三人分の足は最後の一段を踏んだ。
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