色彩 3

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知らない人だらけなのが怖くて、必死に隣でヒラヒラと衣装を揺らす先輩を凝視する。男性にしては狭い肩幅より一回り大きいマントのような服。そういえばこの服、どこかで見たことがあるような………あ、あれだ、確か怪盗みたいな感じのやつだ。 「ちょうどいい服がそれしかなかったんだからしょうがないでしょー!」 「じゃあ別に制服でもいいだろうが」 映画研究部……名前すらあまり聞いたことは無かったが、部活内の雰囲気は何となく伝わってくる。みんな仲がよく、それでいて熱心な気持ちもある。 ……少なくとも、キャラの濃い恵たちが空気と化すくらいには。 「ほら、作業に戻れお前ら。この子たちが怖がるだろ」 「え~?せっかく新しい部員なんだからスキンシップは大事でしょ?」 「まだ入ってねぇっつうの。いいからほら」 大袈裟に手で払う動作をすると、ようやく視界が開き始めた。 二人とも大丈夫かな……?そう思い横を向くと、優花は真ん中に置かれた機械に、恵は回りに敷き詰められたDVDに目を輝かせていた。二人とも映画は好きなんだろうか。とりあえず、暇してなさそうでよかった。 どうやら先輩は映画研究部の部長のようで、その後も色々なことを教えてくれた。 昔の映画で使われたフィルムというものや、真ん中に置かれている、これまた昔使われていたぢ映写機という機械の役割。見るもの全ての真新しさと先輩の詳しくも面白い説明のお陰で、退屈しないまま時間が過ぎていく。 「あれ、これなんですか?」 棚の中を物色していた恵が、そこから一枚のDVDを持ってくる。気になって覗いてみると、他のと違って映画のタイトルも貼られていない、布性の入れ物に無造作に入れられたものだった。 「ああ、それは先輩たちが作ったやつだよ。よく見つけられたね」 「映画を……ですか?」 「そう。30分くらいのやつだけど、少し前までは結構作ってたんだって。今は人手が足りなくて、そんなのは作れてないんだけどね」 先輩は笑みを浮かべながらも、どこか寂しそうだった。 何となく、恵からそのDVDを借りる。テレビさえあまり見ない私は当然、映画なんてほとんど見てこなかった。そもそもこっちにくる前は映画館に行くのにも一苦労だったし、行ったとしてもどこか味気なかった。 でも、これはなぜか、普通とは違う感じがする。 言葉では言い表せないけど、何か……… 「ーーーー!?」
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