間章

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そこにきてようやく、私は自分が置かれている状況に気が付いた。 しかし気づいたからと言って、 その日は二回目の文化祭を明日に控えた仕上げの日。 教室でカフェをすることになった私たちは、教室の中を飾りつけする作業に入っていた。 本来、義務教育の制限は厳しく、こういった行事の中でも生徒たちが食品を扱うことはあまり良いとは言われていない。だからやっていいといわれること自体無理をしたし、一番といってもいいほどの思い出となる文化祭だ。みんなで役割を分担して、ちゃくちゃくと思い浮かぶ問題を解決していった。 私は友達と一緒に、教室中の壁の装飾をしていた。ばらつきがないように調整しながら、折り紙や小道具といったものを壁に貼り付けていく簡単な作業。台を使って天井ギリギリまでということでもないので、色が見えないくらいじゃ何の障害にもならなかった。 「まっし~!、、、ここ届かないよぉ、、」 「え!?ちょ、ちょっと待ってすぐ行くから!」 中学生にありがちな成長期を実感しながら、背伸びをしながらプルプルと震える友達のところへ急ぐ。小学校までは立場が逆だったのだが、いつの間にか私のほうが大きくなった。 「むぅ、、、やっぱり背が高いっていいなぁ」 「、、、もうすぐ成長期来るって。辛抱辛抱」 急に身長が大きくなっても体が痛くなるだけだと言うのは流石に酷か、、、。 小学校のころからなんとなく見た目が変わってないとはよく思っていたが、本人も何気に気にしているらしい。そういえばこの前も、二人で帰る途中に姉妹と間違えられたっけな、、。 彼女と少し話をしたあと、自分の持ち場へ戻る。改めて壁を見ると、もう半分以上装飾が完成していて、この調子だとすぐに終わりそうだった。 「(時間に余裕がありそうだし、終わったら誰かの手伝いとか出来るかな、、)」 辺りをきょろきょろ見渡しながら、自分がほかにできる仕事がないかを探してみる。しかしみんなも中々順調に進んでいるようで、徐々に完成系まで見え始めていた。 今更だが、私の目が色を映さないことはクラスの全員が知っている。 まあただでさえニュースになるほどの事故が原因のせいで認知度は上がるし、クラスメイトの半分は小学校でも一緒だったため隠すほうが難しい。 何なら始めて教室の扉を開けた日に『真白ちゃん目大丈夫!?』って言われたくらいだし。
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