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それでもクラスの半分は、私のことをよく知らない。最初はもちろん壁があって会話など出来なかったし、色が見えないのは本当なのかと不気味がられたこともあった。
しかしそれも、時間が流れるにつれ少しずつ無くなっていった。時には一人で、また時には友達の力を借りて。
もちろんそのために努力を惜しまなかったし、そうなりたいと心から望んでいた。だからみんなと打ち解けられた時には、肩書きだけでなく、本当にクラスメイトになれた気がしてとても嬉しかった。
…………それなのに。
「なあ、ちょっと手伝ってほしいんだけど」
「うん!すぐ行くよ」
たった10分前の私を、私は心の底から恨んだ。
どうして壊れるときは、こうも簡単に壊れてしまうのだろう。
いったい私が、何をしたというのだろう。
目の前の彼女からは、憎悪の感情がひしひしと伝わってくる。それだけじゃない。周りで見ているだけの人たちのなかにも、私にそれを向ける人が数人いた。
私はただ、みんなと仲良くなりたかっただけなのに。
道徳という授業では、手を差しのべる方法しか教えてもらえなかった。
だからだろうか、こういうときにどうすればいいか上手く考えられない。
…………手の差しのべられかたが、分からない。
「ちょ、真白!?」
気がつくと、私は走っていた。
当然だ。嫌なことがあったら逃げる。それが一番幸せな人生を送ることが出来るのだから。
なんて、子供のようなわがままは、廊下を駆ける私の背中をびっしりと追ってくる。やけに鋭く感じる周りの人からの目線が痛い。
足元を見ている余裕がなかったので、ふと足がもつれ、冷たい床に体をぶつける。一瞬冷静になった私の思考を汚すように、「どうして私がこんな目に」という感情が追いついた背中を掴み始めた。
、、、、、私が何をしたっていうんだ。
私が彼女に陥れられた理由は、皆目見当もつかない。気づいていないだけでなにか気に障ることをした?いやいや、あの人と私の接点なんて、クラスが一緒だったくらいだろう。
色が見えない私が気に入らなかった?
いやいや、私が色が見えないことと彼女の生活になんの関わりがあるんだ。
現に今まで、何も不便なんてなかったじゃないか。
、、、、分からない。
分からない
分からない
分からない
、、、、、分かりたくもない。
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