第2章 クランク・イン

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、、、いや、もしかしたら楽しんでいるだけかもしれないが。 「潤さんって、田舎者だったんですか?」 ある一点を見つめてぼーっとしていた私は、よく話を聞いていなかったためそんな返答をした。すると潤さんは少し時間を置いた後、「お前までそんなことを言うか」と笑う。 、、、ほんの少しだけ、本当に困った顔をしながら。 「あーそうだ。俺たちまだ機材の準備とかやることがあるから、適当にそこらへん歩いてていいぞ」 「え、ほんと!?やったー」 「お前はこっちきて準備だ。お前らも、ちゃんと準備運動とか発声練習はしとけよ」 そういうと潤さんは、美咲さんの首を掴んで歩いて行った。普段は休憩場所として使っている海の家に話を通してあったらしく、すでにそこではちゃくちゃくと機材が組み立てられている。私たちも手伝おうかと以前話したが、「機材とか編集とか詳しいことは二年生になってから」らしい。   「お、終わった?じゃあ探索しようぜ探索!」 「えぇ!?なにそれ、、」 どこから話を聞いていたのだろう。恵が後ろからひょっこりと出てきて、私の肩を掴む。 「あら、私たちと違ってあなたは見飽きているのかしら?流石田舎者」 「ちょっ、その言い方やめてよ恥ずかしい」 そこに優花も加わって、そこだけ人口密度がすごいことになる。まったく、私はこの程度慣れっこだが、二人は暑さとかには強いのだろうか。あ、でもよくみると優花はだいぶ無理してるっぽいな。いつも細い目がさらに細くなってる。 「しょうがないなぁ、、、じゃあ行こっか」 二人に手を引かれながら、私は果てしなく続く灰色の海を眺めた。
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