第2章 クランク・イン

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・・・・・ 「「、、、部活強化期間、、、、、?」」 みんなが集まっていざ部活スタートと言うときに、潤さんが黒板に書き出した文字にみんなが釘付けになる。 「そう、部活強化期間。っつっても、俺が勝手に考えたんだけどな」 そう言葉を繋げながら、さらに黒板に文字を続けていく。 「せっかく部員が増えたんだから、そろそろ軽い映画なら作れるんじゃないかと思ってさ」 話によると、どうやら私たちが入る前にも学校の紹介映像やら寸劇の動画やらを作っていたそうだ。その経験と人手を考慮して、本格的に映画を撮ってみようということらしい。 「でも流石に突然すぎないっすか?一年生も入ってきたばっかりだし、俺らだって準備もまともに……」 「そ、だからそのための強化期間。まあ名前つけてそれっぽくしようってだけで、簡単にいうと夏休みになにかしようぜって話だから」 学校に入学してきてから数ヶ月。目まぐるしい生活の変化の中ではずいぶんと時の流れが早く感じて、正直、もう夏休みに入るのかと不思議な感覚になる。その時間のなかでこの部活では様々なことをしてきたが、初めてのことだらけでまったく上手くはいってなかった。 「夏休みまであと1ヶ月。幸い機材は揃ってるし、いく場所の目処も立ってある。予定はたてやすいと思うんだけど……」 「私さんせーい!」 「僕も~」 その提案に、3年生の二人がすぐに食いついた。やはり最上級生ということもあって部活の流れや計画に問題がないと分かっているのだろう、ただやりたいというだけでなく、真面目な表情をしている。 ………ちゃっかり混ざって手を挙げていた恵はどうかは知らないが。 「そっか………一年は?」 視線を送られてようやく、私はその提案について考える。その隣では背伸びまでして手を挙げていた恵が、潤さんに「お前はもういいから……」とあやされていた。 強化期間……詳しくは何をするんだろう。 いつもは部室に集まって、簡単な発声練習とストレッチ。その後各自自分のやりたいことをするのだが、その内容も、照明の勉強や映像編集など様々だった。 私は最初こそ順番に全て手をつけていったが、今となっては先輩方と既存の映画を見るだけ。色のない映画はリアリティを無くすし他のものは難しいしで、正直早くも挫折しそうだった。
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