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潤さんは相変わらず、私の心を溶かすように優しい笑みを浮かべる。その笑顔に、そしてその言葉に、私はようやく部員として認められた気がした。
「真白、そうゆうのが好きだったの?」
「好きだったっていうか……ちょっとやってみたいなっていうか」
「じゃあ私が何をするか全部真白に決められるってことだね………ちょ、変なのには絶対しないでね?」
「しないよ恵じゃあるまいし!」
ガヤガヤと声を荒げる私たちのことを、先輩たちは意外だという表情で見守っている。だがその事に気がつかないまま、私は恵たちと会話を続けた。
「珍しいね。何かあった?」
「別に?そろそろ一人じゃ限界だって思ってたんだよなー。なあ真白!」
名前を呼ばれて潤さんを探すと、いつの間にか博人さんと一緒に部屋の隅っこに移動していた。何か話してたんだろうか。だがそれよりも、未だに呆然としている2年生と美咲さんが心配でならない。
「今までに例えば、小説とかそうゆうのを書いた事ってある?」
「い、いえ。ただ面白そうだなと思いまして」
いくら相手が潤さんだといえ、ずっと暗いことばかり考えてましたなんていうのは流石に忍びなかった。潤さんにでさえ色を失った経緯や中学校の時の詳細は教えてない。それはお母さんにも確認済みだ。
「そっか………よし分かった」
自分の妄想と違って、たくさんのキャラクターを物語に沿って動かすことは難しい。私の拙い知識だけでは、きっとはじめから上手くやるなんて出来るほうがおかしいだろう。
……だが、それで諦めるわけにはいかない。もしかしたら自分の居場所を見つけるチャンスなのだ。
「じゃあ早速明日から取りかかろう。真白は明日シャーペンとノートを持ってきて。他のみんなはどんんなキャラクターでも演じられるように、漫画でもなんでも持ってきて練習すること!いいね?」
「「はい!」」
「よし、じゃあ午後の練習始めよっか」
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