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「、、、、上映会の話、許可が下りなかったんだ」
「え、、?」
「ほら、今年先生が変わったでしょ?それであっちの人からのお誘いを断っちゃったみたいで、みんなでやりたいって言っても聞かなくて、、」
その瞬間、俺の中で何かが壊れたような気がした。
誰かに見てほしくって。誰かに知ってほしくて作った作品を、どうして誰かのせいで消されなくてはいけないのだろう。
もしかしたらほかの人からすれば「たかが映画」なのかもしれない。きっと何も知らない先生からは、時間の無駄なのかもしれない。
だけど、それしか方法が分からない俺は、、、
「、、なんだよ、それ」
「、、、潤君?」
「なんでそんなやつのせいで、邪魔されなきゃいけないんだ!」
気が付くと、俺は声を荒げていた。それも目の前の先輩に向かって。先輩は何も悪くないのに。先輩だって、同じ被害者なのに。
よほどその光景が珍しかったのだろう、みんなの視線が俺たちに集まるのが分かる。当然だ、俺だって今まで声を荒げたことはなかったんだから。
だってこれほどまでに、思い通りにいかないことなんてなかったんだから。
「別にあんなのがダメって言ったって出来るだろ!」
「潤君、、、」
「なんで何も知らないやつに努力を無駄にされなきゃいけないんだよ!」
「潤くん、、、」
「俺の時間を、みんなの時間を返せよ!」
「----!」
その言葉が一体、誰に向けられた言葉なのかは自分でも分からなかった。
ただ心にたまった鬱憤を晴らすだけ。ただ自分の苦しみを、他の人に押し付けただけ。
そんなことをする意味がないのに、悪くない先輩にそれをしてしまったことに対する後悔は、頬に走る鈍い痛みによってようやく気付く。
、、、先輩の目には、涙がにじんでいた。
「潤君は、何のために映画を作っているの?」
「そ、それは、、、自分の作品を他の人に見てもらいたいから、、」
「そっか、、、じゃあ、もしその作品が見た人にダメって言われたら?」
「それなら、もっと他の人に見てもらえばいい!そうすれば誰かがきっと、、」
「違う、そうじゃない」
顔に両手を当てられ、俺は先輩と目を合わせた。いつも見ている先輩の顔。だが今日はまだ見ていなかったのはきっと、先輩がどこか俯いていたからだと知る。
涙で滲んだ先輩の目は、まるで心そのものだった。綺麗で、そしてまっすぐ何かを目指して向かっている。
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