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他愛もない会話をする余裕すらないくらい、短い廊下はすぐに途切れる。朝はあんなに折り紙で作った輪っかやら手書きのポスターなどが貼ってあったのに、今ではもう無機質な壁に戻っていた。
中に誰かいるか分からないので、慎重に教室の引き戸を上げる。いくら一年生と言えども、校則を破って残っている生徒も数人くらいいると思っていたのだが、案外みんなまじめなんだなと、静かな教室の中を見渡した。
「あ、、、った!」
「本当?、、、たわね」
「、、ん、、ん。よし、、かえろ、、、、?」
「、、、、、真白!」
「うわぁ!?」
突然耳元で名前を叫ばれ、心臓が飛び出しそうになる。ハッと我に返ると、なぜか私より一回り小さかったはずの恵が同じ視線にいた。
「、、、何してるの?」
「それはこっちのセリフだよ!どうしたのボーっとして、、」
優花が限界を迎えたのか、上げていた手を下すとみるみるうちに恵が小さくなっていく。わざわざ持ち上げていたのか、たいそうなことだ。
「ちょっとね、あれを見てただけ」
そう言って、さっきまで見ていた教室の隅を指さす。そこには手書きの文字で「1-B 喫茶店」と書かれた大きな看板が立てかけてあった。
「あー、確かに真白は、私たちより見る時間少なかったもんね」
「もしかして、どこか行きたいところとかあった?」
「ううん、別にそんなんじゃないけど、、」
この看板は、昨日まで教室の外に置いてあったもの。しかしそのクラスの一員である私がその看板を見る機会は極端に少なかった。
昨日まで行われていた行事、、この学校の文化祭は、普通とは少し違う運営の仕方をしていた。
まずは当然、クラスごとに一つの出し物。それは遊ぶ場所だったり休む場所だったり、担任からの許可が得られればある程度自由にできる。
そしてもう一つ、もはやこっちのほうがメインとみられているといっても過言ではないのが、部活での出し物だった。
吹奏楽部や美術部といったものなら聞いたことはあるだろうが、この学校では希望するならどの部活でも出し物をするができる、たとえそれが、部活内容となんら関係がなくても。
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