終わりと、始まりと 2

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「『ちょっと何々?私抜きでなんの面白そうな話してるのかなー?』」 「『べ、別に、、、お前には関係ねぇよ』」 「『そうそう、これは男だけの、大事な会議だから』」 メインとなるのは、三年生が演じる幼馴染三人組。 分かりやすいように、登場人物の名前は演じる人と同じ名前に統一した。そのお陰でだれがどんなキャラを演じているのかこんがらがらないが、どうしても設定上、現実とは異なる部分も生まれてしまう。 「『理子ー、昨日の数学のプリントやった?』」 「『今日提出なんだからやったに決まってるでしょ。、、、、もしかして恵、またやってないとか言わないわよね?』」 まだ足を震わせながら、現実では先輩である理子さんを呼び捨てにする恵。バランスや物語の構成的にそうすることに決めたが、その設定を見た恵は大声をあげて発狂していた。きっと今日も練習が終わったら、真っ先に謝りに行くのが想像できる。 、、、そう考えると面白いな。今度からもそうしてやろう。 「『あ、いたいた。おーい!』」 「『おー海人、どうした?そんなに急いで』」 「『お前弁当家に忘れてたんだって?妹さんがわざわざ俺らのクラスまで届けてくれたぞ』」 「『優花が?まじかサンキュー』」 特に気になる部分はなく、ちゃくちゃくと台本読みは進んでいく。多少噛んでしまったり、自然さが失われてしまうというところはあったが、それだけだった。 、、そういえば、 とふと私は、今読まれているセリフを目で追いながら閃く。恵と理子さんの関係図は私が考えたものだが、それ以外のところでも上下の関係が複雑に混ぜられている。 例えば、先ほどのセリフでわかる通り二年生の大樹さんと一年生の優花は兄妹の関係。海人さんと恵は家が近く仲がいいことになっているし、どう考えても30分で完結する物語にしては詰め込みすぎている。 私はよく理解していないが、潤さんにはきっと何かの意図があるのだろう。 、、、ああいや、やはり意図や理由なんてないほうがいい。そうでも考えないと、頭の中がパニックになってしまう。 「、、、真白?」 その声が聞こえて、私の意識が体の中に戻ってくる。やば、、次私のセリフだった、、? ページを行ったり来たりさせながら、猛スピードでセリフを探す。ようやく私の名前が目に入っていざ読もうと息を吸い込むと、その下のセリフを見てせき込んでしまった。
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