カメラワーク 2

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真白の言葉にハッと息を飲み込む。 危ない危ない、、ついいつもの癖で、周りを見ずに考え込んでしまった。 飛んでいた意識を体に戻し、再びテーブルに身を寄せる。真白の持っていた紙には、二人で考えた一連の流れが大まかにだが書いていた。 「やっぱり、潤さんが美咲さんに告白するんですか?」 「なんかその言い方すっごい嫌なんだけど、、、、まあそうなるかなー」 メインで動く三年生が3人いるということで、そこのバランスと関係図にはとても悩んだ。 そこで3人が仲のいい幼馴染という設定にして、一人をサポート役に回す。そのことをこの前博人に相談したら、「僕絶対そっちのほうがいい!」と強く念を押されてしまった。 、、あんなに切羽詰まった姿は初めて見たな、、、 まあそんなこともあって、俺と美咲の恋愛を博人と周りたちで装飾するという土台が完成したのもつい先日。いくら撮影時期を冬に設定したとはいえ、これからやるべきことを考えると余裕があるとは言ってはいられない。 つい最近まで新入生が増えたと騒いでいたのに、気が付くともう夏が終わったのだ。あんなことをした、こんなことがあった。そんな記憶はあるのに、何日が経過したなどと数字に換算するといまだに信じられない。年齢と一年が過ぎる速さは一緒だと言っていたのは何だったか、、そんなことを考えている時間も、もしかしたらもったいないのかもしれない。 「じゃあ時間の流れとか話のつなぎの部分は俺が考えるから、それ以外の告白とか重要なところは真白に任せてもいい?俺もある程度案は出すからさ」 「え!?あ、いいですけど、、、私で大丈夫ですか?」 大丈夫というか、十数年も初恋を引きずっている俺よりはずっと適任だろう。年頃の女の子なんだし、聞くところによると、いろんなジャンルの小説を読んでいるらしい。恋の表現の一つや二つ、すらすらと書いてしまうに違いない。 そう勝手に期待しながらも、心の奥に押し詰めた感情がズキリと痛みを発しながら顔を出す。もしそうだったら、それはそれで嫌だ、と。 「まあそんなに難しく考えなくていいよ。どうせ言うのは俺だしね」 そういうと、真白はいっそう険しい顔をしてしまった。そんなに悩まなくてもいいのに、、そう思いながらも、そのぶん真白が熱心になってくれていることに心が躍る。楽しいを共有できることが、どれだけ嬉しいことか。
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