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「潤さんは、どんな告白をされたいですか?」
「俺?そうだなぁ、、、」
きっとこれを参考にするのだろう。真白の助けになるように必死に頭をひねるが、全然それっぽい台詞は出てこない。それどころか恋愛に対する知識が少なすぎて、告白の仕方一つ考えるにしても目が泳いでしまう始末だ。
「、、、、俺は、シンプルに『好き』って言われればそれでいいかな」
動かした先に見えたのは、何の変哲もない机の引き出し。
だがその中に入っているものを見透かしながら、俺はそれが答えだと感じた。
告白されるのももちろん嬉しいが、その相手が自分の好きな人だったらその嬉しさは比にならない。その感情が本物なら、それを表す言葉はどんなものだっていいと。
「なるほど、、なかなかロマンチックですね!潤さんも恋愛小説とか物語は好きなんですか?」
「好んで見たりはしないけど、物語は一回書いたことがあるよ」
ーーーーーあ、
反射的に答えて数秒後、俺はしまったと口に手を当てた。
その小説のことは、今の部員には誰にも言ってはいない。というか、自分の過去の恋愛話なんておいそれと晒すようなものではない。
それがよりによって一番関係のある人の前で言ってしまうなんて、、
やはり女子は、そういった話題が大好物なのだろう。真白は目を輝かせながらこちらのほうをじーっと見つめてくる。口には出していないが、早くそれを見せろという雰囲気が全身から伝わってきた。
なるほど、これが世に聞く誘導尋問というものか、、、
「いや、見せないからな?」
「えーなんでですか!?いいじゃないですか減るもんじゃないんですし!」
「わりと俺のヒットポイントとか減りそうなんだよな……」
未だにそれを持っているという事実を自分で露見させながら、それでも必死に隠し通す。真白も中々に食い下がらなかったが、最終的には先輩という立場を使ってようやく落ち着かせた。
この時ほど、俺が年上でよかったと思ったことはない。
「むー、、、、でもそうか、あまり難しくなくてもいいのか」
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