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お母さんの買ってきた合格祈願の御守りの下に、小さく折ったおみくじを置いてひきだしに鍵をかけた。
――尚君と同じ高校に行かせてください。
初詣で神様にお願いしたことを、自分の手でダメにしたような気がした。
ひきだしに鍵を掛けたって、わたしの頭の中で消えることはない。
着物を汚したことより、助けてくれたお礼が言えなかったことより、最も恥ずかしい行いだった。
それでも何故かそれをもう一度神社に返しに行く気にはならなかった。
そして次の日、教室に尚君の姿は無かった。
「尚君事故にあったんだって」
先生は朝のホームルームでは何も言わなかった。それでも噂はたちまち広がった。
受験を控えたこの時期に入院。
指先が冷たくなっていく。
――同じ高校に行かせてください
それは馬鹿なわたしのレベルに尚君を落としてくださいという意味ではない。
わたしが、わたしが……
お腹の上の方から気持ち悪さがこみ上げてきた。
目を開けることができない。
喉が絞られるように息が詰まった。
事故はわたしのせいじゃない。
それでも、尚君の運を奪ってしまったような気がしてならなかった。
お母さんが学校まで迎えにきて、帰り道尚君の事故の話になった。
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