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尚君のお母さんとわたしのお母さんは仲良しだから、事故のことを聞いたのだろう。交差点での接触事故だった。尚君は自転車ごと跳ねられて救急車で運ばれたらしい。
「……わたしのせいかもしれない」
膝の上で固く握っていた手の甲に涙がぽたりと落ちた。
「何かあったの?」
涙があとからあとから溢れてきて、抱えていた秘密を吐き出さずにはいられなかった。
おみくじをとってきてしまったことを話し終えた時、ハンドルから離れたお母さんの手が数秒だけわたしの手に重ねられた。冷え切っていた指先を包み込む優しさにますます涙が止まらなかった。
「尚君の事故は決して智花のせいなんかじゃないよ。おみくじのこともお母さん、その気持ち分かるよ。そのおみくじ、お守りにして尚君に届けてあげたらどう?」
「手作りのお守りなんて気持ち悪がられるだけだよ」
お母さんに尚君を好きなことを知られてしまった恥ずかしさもあってそんな風に言い返してしまったけれど、それで尚君に運を返せるのならやってみようかなと思い始めていた。
尚君の入院している病院にお母さんとお見舞いに行くことになった。
病室のベットで尚君は問題集を解いていた。けがは足の骨折だけだったがひと月も入院しなければならないらしい。
「あ、智花。来てくれたんだ」
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