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「……ねぇ、いくら何でもさ、一ヶ月の間に死んじゃう人の数なんて日本だけでもかなりたくさんいると思うけど。アルバムに載せきれないはずじゃない?」
今思い返しても、至極当然な疑問だったなと思います。
ですが、その問いに友人は小さく首を振り、
「違うよ」
と笑ったんです。
そのアルバムに載っている人たちは皆、人生の卒業アルバムを覗いちゃった人たちだけなんだよ、と。
つまり、ゴミ捨て場か道端かはわかりませんが、偶然落ちていたアルバムを見つけ、それが人生の卒業アルバムだと気がつかずに中を開いてしまった人たちが、写真つきで載せられているというのです。
「人生の卒業アルバムはね、見た目は普通の卒業アルバムと大差がないの。だから外見じゃ見分けなんてつかない。たまたま見つけてしまって、好奇心で中を見ちゃった人を新しい人生の卒業生として引きずり込み続ける、呪いのアルバムなんだよ」
薄暗くなり始めた教室の中で、そう告げた友人の顔と声は今でもすごく不気味なものとしてわたしの記憶に残っています。
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