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仕事が遅れ、同僚と二人で残業をすること三時間。
既に時刻は夜の八時を回り、自分たち以外職場に残っている者は誰もいない。
「……ふぅ」
長時間無言のままパソコンを睨み付けていた俺は、大きなため息をつきながら画面から顔を離し、凝り固まった目をほぐすように目頭を押さえた。
「終わりそうか?」
同僚も集中力の限界だったのか、キーボードに載せていた手を止めやつれた表情をこちらへ向けてくる。
「どうかな。後三十分くらいはかかりそうだ。全く……もう少し若かったら、こんな会社辞めてるよ」
怠くなった目玉を動かし同僚と視線を合わせ、俺は重い肩をひょいと竦めてみせる。
「同感だ。おれの友達なんか、ほとんど毎日定時上がりで給料はうちと同じくらい貰ってるって話だし。入る会社間違えたよなぁ。嫁や娘と遊んでやる時間すら、ほとんどねぇしよ」
「……案外、気楽で良いやなんて思われてるかもしれないぞ」
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