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茶化すように俺が言うと、同僚は「やめてくれ、笑えない」と苦虫を噛み潰したような顔で小さく首を振った。
そして、そのまま立ち上がると一度部屋から出ていき、缶コーヒーを二本手にして戻ってきた。
「ほれ」
「おお、サンキュー」
そのうちの一本を俺に投げてよこして、同僚は自分のコーヒーに口をつけた。
「……そうだ、高田。お前さ、意識を乗っ取るウィルスの噂、聞いたことあるか?」
「は? ウィルス? インフルエンザみたいなやつか?」
自分もいただこうと、プルトップを開けてコーヒーを口に運びかけていた俺は、突然振られた問いかけにピタリと動きを止める。
「いや、違う。そっちのウィルスじゃなくて、コンピューターウィルスの方。その反応だと、知らなさそうだな。パソコンじゃなくて、そのパソコンを操作する人間の意識に干渉して支配する、新種のウィルスの噂」
「……はぁ?」
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