感染支配

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何だそれはと思いながら、俺は疑いの目を同僚へ向ける。 「人間に直接感染するコンピューターウィルスってか? あるわけないだろそんなの」 一笑(いっしょう)に付す気持ちでそう言葉を返すと、同僚も同意するように頷いてみせた。 「まぁな。でも、その噂の内容はウィルスに感染したサイトを開くと、そのまま網膜から体内に侵入して脳に寄生するらしい。それで、寄生された人間はそのウィルスを作ったどっかの誰かに無意識下で支配されちまうとか」 「支配?」 「ああ。日本なのか、外国なのかはわからないが、どこかにある巨大なサーバーで意識を一括管理されて、自分じゃ何も気がつけないまま一生行動を操られることになるんだと。スパイをさせられたりな。だから、ある日突然性格が変わったり、違和感を醸し出す人間が身近に現れたら……注意した方が良いかもって話だ」 クマのできた目を細めてニヤリと笑い、同僚はまたコーヒーを口に運び傾ける。 「……かなりぶっ飛んだ噂だな」 「でも、もし本当にそんなウィルスが存在したら恐いだろ?」
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