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「…うん。これもそうだ。」
ローエンは石炭のようなものを手に取った。
「古代の魔法魚の骨だ。火の魔法で負った火傷に良く効く筈なんだが、あまりに固くて普通に砕く事はできない。
かと言って、大地の魔法で砕くと薬効が失せてしまう。
楡の樹液と風鈴草の香油の混合液には僅かに溶けるが、僅か過ぎて使い物にならない。
水の魔法で何とかできないかと思うんだが、私は水の魔法が使えなくてね。…君は?」
「微力ですが使えます。」
トアンの答えに、ローエンは
「そうだったか。もっと早く訊けばよかった。それなら…」
と、別の本を引っ張り出した。
『魔法医学における水の魔法』
と表紙に書かれていた。
「『雫玉』というのを知っているかね?」
ローエンの問いに、トアンはギクリとした。シュデルが『金の雫玉』をセレに付けて操ったのを知っているからだ。
「え、ええ。名前だけは…」
素知らぬふりで答えた。
「これを作れれば、色々と応用が利くんだ。見てごらん。」
ローエンが指し示した箇所には
「雫玉とは、液体を凝縮した上で、表面張力を強め、小さな球状にして人や動物に付着させるもの」
とあった。
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