第5章  魂のかけら3

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その頃、ロストークではトアンが王宮の廊下を足早に歩いていた。 トアンはタリヤの部屋を目指していた。 この廊下の奥には王が国務の間に休息する為の部屋がある。王の護衛を任されているタリヤは、その真向かいの部屋を使っている。 何度もここを訪れているトアンだが、流石に王宮の深部には直接は入れない。 まずは正門、次に王宮正面の出入り口、そして王や重臣たちの通用門、最後に王の部屋へ繋がる廊下の扉の前… それぞれの箇所の衛兵にヤールシュレイテ国王とタリヤの署名がある書簡を見せなければならない。 所々に魔法の使える者も配置され、邪気を放っている者は直ちに取り押さえられる。 トアンは特に引き留められる事も無く、一つ一つの『関所』を通り抜けた。 そしてタリヤの部屋の前に辿り着いた。 「タリヤ様、トアンです。」 扉をノックすると 「入りなさい。」 との返事と共に、扉が開かれた。 「お久しゅうございます。タリヤ様。」 トアンは胸に手を当てて、頭を下げた。 タリヤは武具の手入れをしていたが、その手を止めてトアンに言葉を返した。 「2ヶ月ぶりだな。元気そうでなによりだ。」 目下の者にも誠実に礼を持って対応するところがタリヤらしい。
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