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「『アーリン』と言いましたね…」
ナーガがロダをジッと見つめて言った。
「…ああ。」
ロダはナーガとは目を合わさず、ディルザが去った方向を見ていた。
「あなたの父親とは、あの『アーリン』ですか?」
ナーガの言葉には張り詰めたものがあった。
「ああ。そうだ。」
ロダはナーガに視線を移した。
「あの悪名高い『偉大な魔法使い』のアーリンだ。」
「そうでしたか…。」
ナーガは眉をひそめた。
「偉大な魔法使い?」
セレが訊ねた。
「ええ。彼も4種の魔法を使います。魔法の裏世界を牛耳っていると言われている男です。
翼竜の流れをくむ者で、我々の間では良く知られています。しかしこの辺りに居たとは…
世界中に情報網を張り巡らせていて、幾つもの国の中枢に影響力があると聞いています。
…もしかしたらヴァシュローク様やセレ様の事も知っているかもしれません。」
ナーガの話しを聞く内に、ロダは苦々しい表情になっていった。
「翼竜、精霊、それに魔獣の血もひいている。気配を消せるし、少しだが他人の思考を読む。そして魔力は最強だ。
しかも世の中を自分の欲するままに動かす事に歓びを感じるんだ。これ以上厄介な奴は居ない。…そんな奴が父親なんだ!」
ロダは両手を固く握り締めていた。
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