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「なんと…」
どこか獣人を思わせる風貌の男が呟いた。
「ロストーク国王に良く似た顔立ち、緑の瞳。そして特殊な魔法…。間違い無い。」
口元には何処か不気味な笑みが浮かんでいる。
「ロダを捜す筈が、思わぬ収穫だ。ふふふ…」
男は低く笑うと、腰掛けていた大きな椅子から立ち上がった。
ビロードの背もたれには獅子に似た獣と弓矢をモチーフにした紋章が金糸で刺繍されている。肘掛けと脚も黄金だ。
「アーリン様、どうかなさいましたか?」
側に侍っていた男が言った。全身を鱗で覆われている。こちらはディルザとは違い、青味がかった銀色の鱗だ。
「『彼』が居たのだよ。ディルザに付けておいた雫玉にしっかり映っていた。近い内に会えるとは思っていたがね。」
『アーリン』
ロダの父親であり、この部族『トゥイギ』の王…は笑みを増し、楽しくてたまらぬ、という顔になっていた。
「『彼』とは、あの魔法石の宿主ですか?」
銀色の鱗の男が驚きを見せた。
「そうとも!ヴァシュロークが生命と引き換えに創ったという、あの魔法石の持ち主だ!」
声を抑えていたが、興奮は隠しきれなかった。
「森羅万象を尽く操れる魔法石なのだ。」
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