一碧の朱いぬくもり

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 今はまだ、この熱すぎるぬくもりを感じていたかった。 「うん、分かった」  そう言って、朱音先輩はまたぎゅっと抱きしめてくれる。  それからまた、言葉をぽつぽつとこぼす。 「……実は、あたしもすっごい重いんだよね、それ」 「え……そうなんですか?」  それは意外だった。なんとなく、朱音先輩はすごく軽く済んでいるイメージがあった。 「さっきあたし達が似てるって言ったのはそういうところも一緒だなぁと思ったからだよ。あと、急に泣いちゃうところとかもね」 「朱音先輩でも、そんなことあるんですか」 「そりゃああたしだって女の子ですから。色々感じちゃうわけですよ。それに、あたしも最初はあおちゃんみたいに、運動がすごく得意ってわけじゃなかったんだよ。だから、そこも似てるなぁって」  感慨深そうに朱音先輩は言ってくれる。だけど、やっぱり違う。 「……それでも、私と朱音先輩は正反対です」 「なんで?」 「こんなに、あったかいから……私は、こんなふうにはなれません」  熱すぎるぬくもりは、私だけの心地のいいぬくもりになっていく。私の痛みを包み込むように。  そんなものを、私は他の人に与えることはできない。 「そんなことないよ。ほら、聞いて?」     
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