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一碧の朱いぬくもり
『女の子の日』とは、よく言ったものである。初めにそんなことを言った人を殴ってやりたい。
「痛すぎる……」
今日も今日とて痛みと絶賛格闘中。女の子の日はひな祭りだけで十分だ。
もちろん痛み止めは飲んでいる。飲んでいるのだが、痛みにも波が存在するし、そもそも痛いだけじゃ済んでいないことも問題だ。
そんな痛みと戦いながら陸上部の部室まで向かう。まあ、理由が理由だし、休んでも誰にも文句は言われないが、今日は参加したい理由があった。
なるべくなんでもない顔をしながら部室の扉を開ける。すると、参加したいその『理由』がすでにいた。
「朱音、日本一おめでとう!」
「おー、ありがとありがと。まあいつものことなんだけどね」
「日本一が当たり前とか、やっぱりチャンピオンは風格が違いますなぁ」
「いやいや、そういうつもりじゃないって!」
数人の先輩に囲まれている、他の人よりも少しだけ背が高くて、吸い込まれてしまいそうな大きな瞳で笑う、私の憧れの先輩。
「朱音先輩、お疲れ様です」
「おっ、お疲れー。どうよ、あおちゃん。最近の調子は」
「んー……ぼちぼちってところです」
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