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プロローグ
それは良く晴れた日の昼間のことだった。街の広場に人垣が出来ている。彼らが遠巻きに取り囲んでいるのは、衛兵と私と、身体を押さえつけられている罪人。目隠しをされ、頭を首切り台に乗せられているその罪人は、私の友人だ。
彼の側に立つ私に、重い斧が手渡される。
斧の柄を握る手がじっとりと汗ばむ。
周りも見えず、何も語ることがない友人。彼はこれから私に殺されると言う事を知っているのだろうか。
衛兵が合図を出す。私は斧を振り上げ、真っ直ぐに友人の首を裁ち落とした。
周りの人々から声が上がる。
その声が悲鳴なのか歓声なのか、私にはわからなかった。
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