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新たなる人生
真新しい調度品が並んだ事務所を見て、わたしは早くも軽い達成感を抱いていた。
狭いながらも、この事務所が新たなスタート地点なのだ。
今はまだ隙間の目立つ書類棚。応接用の大きなテーブルとソファ。そして窓際には大きな机と椅子。――もちろん、わたしの席だ。
わたしは大きな肘掛け椅子にどっかりと腰を下ろした。奮発しただけあって座り心地は抜群。窓からは街の様子が見え、景色も中々のものだ。
建ち並ぶオフィスビルの数々を見つめ、わたしは物思いに耽った。
止むに止まれぬ事情で前の仕事をやめて、途方に暮れていた時のことを思い出す。これまでの順調な生活が急に一転したのだ。
どうするべきか連日悩んだものだ。いっそ警察に捕まれば、刑務所の中で喰うには困らないのではないか……と考えたことすらあった。幸いなことに、それで迷惑を掛けるような親族は誰も残ってはいなかったし。
そんなわたしは、偶然にとあるドキュメンタリー番組を目にした。
会社を解雇された男性が自ら事業を起こして成功している、たまにあるサクセスストーリーだ。
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