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「ちいさいよるのこ、とかいて、さよこともうします。どうぞ、かわいがってください。ひとりではでられませんので、おねがいいたします」
低音ではあるが柔らかい口調に変わった。
背丈は…。そう、一メートル五十センチほどだろうか。重さは…軽くはなかった。相当に力を入れなければ、引き出せなかった。いや、引き出すという表現は当たっていない。引きずり出したといった方が当たっている。
「申し訳ありません、重かったですね。体重は、今、三十七キロです。まだ成長途中です。身長は一メートル六十センチで止まります。体重は、四十二キロで止まります。ご安心下さい、それ以上にはならないようにプログラムさ れています」
声の質が変わった。少し甲高い、明らかに若い女性の声となった。神妙な顔つきで言う。眉を寄せて、申し訳なさそうな表情を見せもした。
「ご主人さまの体格からしますと、少し大きいようですね。申し訳ありません」
まったく、人間と見紛うばかりの精巧さだ。箱から出した折の感触からしても、体温然りだが、何よりその肌ざわりだ。すべすべとして張りもある。しかも胸の膨らみがしっかりとあり、大豆ほどの乳首さえ付いていたことには驚いた。
「ご主人さま、お願いがあります。洋服を着せて頂けませんか。箱の中に入っていると思いますので」
顔を赤らめながら、小声で言う。その恥じらいは、まさに乙女のそれだった。相手は人形だというのに、正視できなくなった。目をそむけたままで、洋服の入った袋を手渡した。
「ご主人さま、着せてください」
なんてことを! 赤児ならばいざ知らず、立派な大人の女性に服を着せるなど。
「できない」と手を振ると、悲しげな声で懇願してくる。
「お願いです、ご主人さま。自分では着られないのです。それとも裸姿をご希望ですか」
「ば、馬鹿な。人が来たら、どうするんだ」
「ご主人さま、お願いがあります。洋服を着せて頂けませんか。箱の中に入っていると思いますので」
「ば、馬鹿な。人が来たら、どうするんだ」
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