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頭がぼーっとする。 ゆらゆらとしている視界、なんだか痛いほっぺ、火照(ほて)った顔。 んん......? ん!? はっ......!? ガバッと跳ね起きて、机の上の時計を見る。 やばい、めっちゃ寝ちゃった。 針は12時過ぎを指している。 え、え、何時間寝た? 最後に時計を見たのは......夜9時だ。 夜ご飯を食べ終わってもうひと頑張り、と思って勉強していたけど、ちょっと集中力が切れてきたからキッチンに向かい、糖分チャージのために、雪だるまが書いてあるお気に入りのマグカップにココアをいれて机に戻ってきたのが、夜9時のことだった。 手元のノートを見てみる。 ああ、ココアをいれて戻ってきてから、問題集は1問しか進んでないじゃん......。 ココアだって一口すすっただけだし......。 あぁぁぁ、やっちゃったぁ......。 後悔と罪悪感の大波が押し寄せる。 わたし以外の受験生がみんな勉強している3時間を、わたしは惰眠(だみん)(むさぼ)って過ごしてしまった......。 すなわち3時間の差を付けられてしまったということだ。 机の上には持ってきた記憶のないクッキーが置いてあったり、わたしの肩にはブランケットが掛かってたり、なんかよく分かんないけど湿ったタオルが置いてあったりする。 なんだこれ......? というか! お母さんも、お父さんも、お兄ちゃんも、隆太(りゅうた)も、なんで起こしてくれなかったの! いつもは1時間以上寝てたら起こしてくれるって約束なのに。 その約束を家族がやぶったことは、これまで一回もなかったじゃんか。 なんて、つい、そんな風に、家族を責めたくなってしまう。 いや、自分が悪いってことくらいわかってます......ごめんなさい受験の神様......。 巻き返さなきゃ。いや、巻き返せるか......!? せめてもの糖分補給のために、冷めきったココアを飲んでしまおう、と、雪だるまのマグカップに手を伸ばす。 と、不思議なことに気が付いた。 「あれ? あたたかい......?」 つい独り言が口からこぼれる。 3時間以上前にいれたはずのココアが、いれたてみたいにあたたかい。 (かす)かにだけど、湯気も立っている。 でも、このマグカップは特に保温性に優れているというわけじゃない。 なのに、なんであたたかいんだろう?
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