あの子のココアが冷めない理由

23:00

すると、がっつり寝落ちしてる。
ブランケットまで肩にかけて、寝る気満々な感じだ。

近づくと、机の上には、湿ったタオルが置いてある。
お風呂上がりに勉強始める前にちょっと寝てるってことか。

それでいうと、おれが今日の一番風呂で、おれが風呂から出てから一時間くらいしか経ってないから、姉ちゃんがいくらソッコーでお風呂入ったとしても、寝てから一時間は経ってないかな。

姉ちゃん寝起き悪いから、一時間以内で起こすと不機嫌になったりするんだよな......。

脇に置いてあるココアの入ったマグカップ（父さんがいつも使ってるなんかちょっと高級なやつ）に触ってみると、やっぱりまだほんのり温かい。

であれば、弟のよしみで、ココアだけ入れ直してやろう。

なんだかんだ、去年のおれの高校受験の時、姉ちゃんが静かにしてくれたり、牛乳たっぷりのコーヒーをいれてくれたりしたおかげで今の高校に受かったみたいなとこあるしな。
牛乳入りのコーヒーが好きになったのも、その時のいい思い出と結びついてるからだろう。
おふくろの味ならぬ、姉ちゃんの味、みたいなものだ。