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自分の部屋へ向かう途中、妹の部屋の前を通る。 別にわざわざ妹の部屋を覗きに行ったわけではない。 リビングから僕の部屋に戻ろうとすると妹の部屋の前を通るのだ。 仕方ない。 妹は受験生になってから、扉を開けっ放しで勉強をしている。 寝ていたら僕たち家族に起こしてもらえるようにということらしい。 扉の外からのぞいて見ると、案の定、妹は机に突っ伏して眠りこけていた。 30分以上寝ていたら起こさないといけないわけだから、仕方なく部屋にお邪魔する。 仕方なく、だ。 上から顔を覗き込むと、口が開いている。だらしがない。 口呼吸で乾燥した喉に菌が入ると風邪を引く可能性も高くなる。これは良くない。 ふと、妹の顔の真ん前にマグカップが置いてあるのに気が付いた。 ココアをいれたのだろう。 寝ている間に倒してこぼしたりしたら最悪だ。 せっかくおれがゆずってやった参考書が使い物にならなくなってしまう。 マグカップの位置を移動してやろうとカップを持つ。 「お」 まだほんのり温かい。 この温度だと、経っていて30分くらいと言ったところか。 1時間は経っていないみたいだから、起こさなくてもいいだろう。
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