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乾燥は良くないので、ココアは蒸気が出ているいれたての状態の方がいい。 もうどうせぬるくなってるし、入れ替えてやろう。 あと、温かいお湯で蒸したタオルを寝ている机に置いておいてやろう。 そしたら、乾燥の心配が少なくなる。 別にこいつが風邪をひいて受験に失敗して悲しむこと自体はどうでもいいけど、こいつが浪人したら、また来年もこういう風に気を遣って生活しなきゃいけなくなる。 そんなのは面倒だ。 仕方ない。 僕はキッチンへ向かう。 もともと入っていたぬるいココアを飲み干し、新しいマグカップに新しくココアを入れてやる。 マグカップは、僕の通っている大学であり、妹の志望校でもある大学のオリジナルデザインのマグカップだ。由来も良く分からないクマのキャラクターが書いてある。 蒸しタオルも作って、妹の部屋に行く。 寝ている妹の机の上に、 そっといれなおしたココアと蒸しタオルを置いておいた。 ふと脇を見やると、ストップウォッチがせわしなく「勉強時間」を計測している。 寝ている時間をカウントするのは妹としても本意ではないだろう。 おれはそっと、ストップウォッチを止めてやった。 たまには、リラックスして休め。 充分頑張ってるから大丈夫だ。 ***
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