第3話 本当は本当に本当の

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第3話 本当は本当に本当の

「僕達に、運命はありましたね」  灰色に染まる空を見上げながら発す音は、自分でも驚くほど穏やかなものだった。 「そうみたいね。二度目ましての運命ね」  奏さんは拳を口元にあてて、クスクスと笑う。  その笑みは先程よりも大人びた印象だ。なんだろう? 見ていて飽きない人だ。 「奏さんはどうしてココに? この間の女性は一緒じゃないんですか?」  僕は奏さんが木崎さんと呼んでいた女性に冷ややかな視線を与えられてから、少し苦手意識を持っていた。  きっと僕は木崎さんの中で注意人物になっているのだろう。 「どうしてココにいるかは秘密。彼女って、木崎さんのことよね? 今日も一緒だけど、今は一緒じゃないわ」 「そうですか」  奏さんの言葉に胸を撫で下ろす。  僕はそこで一旦会話を終了させた。  この場所にいる人達が秘密にすることへの深追いは危険だ。  土足で踏み込むつもりもないし、傷つかせるのも本意ではない。
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