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1.ネオ・エイジア編~イチロー・ムナカタの場合~
荒廃した極東の都市を人々はネオ・エイジアと呼んでいた。
世界で忘れ去られたこの都市は、崩壊したビル群と荒廃した土地から流れ着く冷たい風に覆われていた。街を彩った木々や人々の営みは消えてなくなっていた。
街は常に通り抜ける風の音と、その風で流された空き缶やゴミ屑が、無駄に音を響かせて転がっていく。
欲深い大人たちによって起きたい幾つもの戦争や紛争は多くの犠牲者を呼び、戦争を仕掛けた者たちもその力をコントロールできずに力に呑まれ滅び去った。
大地は枯れ、水や大気は汚染されていった。人類を始めとするこの星に住む全ての生命は、数知れず滅びへの歯止めの手段を見いだせずにいた。
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