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「読めば読むほど、怪しすぎる」
ベッドに冊子を放り投げる。
海外にあるなんとかっていう宇宙開発機構から届いたパンフレット。その表紙にデカデカと書かれたプロジェクト名。
【宇宙域領土拡張および積極的標準環境構築計画】
それが、彼の志願した公募型宇宙開発事業だった。
パンフレットの表紙には、真っ白い惑星とそこへ向かう米粒みたいな宇宙船が一隻描かれている。写真が載るページは、表紙を除いて一箇所あるだけ。残りは小さい文字でびっしりと、事業がいかに人類に恩恵をもたらすか、今後の宇宙開発の礎となるか、その意義深さとフロンティア精神めいたものの説明が綴られている。専門用語も余すことなく盛りに盛られていて、画期的な効果を謳った怪しげな通信販売みたいだ。
でも、大事なのはそんなところじゃない。表紙に描かれた星、計画の目的地。パンフレットではそんな大事なことをことも無げに書かれていた。
彼が向かっているのは、惑星HD104985c。
カナベラルと名付けられたその惑星は、地球からおよそ320光年彼方にあるらしい。
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