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部屋の自動ドアが開き、スーツ姿の女性が入ってきた。
「間もなく時間です」
女性はそれだけ言うと、すぐに出ていく。
「待ってコザコリさん!」
私は慌てて女性を、当のなんとか宇宙開発機構職員コザコリ・サワタを追いかけた。
ーー端的に言って、人類が光の速さを超えることは不可能です。320光年離れているのなら、光が到達するまで320年は必要で、そこへ人が向かうとなればさらに長い時間が不可欠。それでも人類は、地球系外惑星、遥か彼方の大地と繋がることを夢見続けました。やがて人類は速く移動することを諦め、かかる時間そのものを短くすることに活路を見出したのですーー
曲がりくねった廊下はやがて広いホールに繋がり、そして見上げるほど巨大な扉で視界が埋め尽くされる。その扉の端っこ、通路用の戸でコザコリさんが待っていた。
手招きされるまま、私は扉の中に入る。
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