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青いぬり絵をあたためて
信じられない。
嬉しかったのは、付き合えた時だけだったかもしれない。
同じ部活でも、彼とは一度も一緒のクラスになれなかった。
同じ大学へ入ったのに、彼は交換留学生としてほとんど海外で過ごしていた。
就職してからは、彼は地方創生事業に携わるとか言ってずっと全国を飛び回っていた。
私と彼はずっと近くにいたはずなのに、いつもどうにもならない距離が割り込んでくる。私の人生には長いこと彼の名前がくっついていたけれど、彼自身との繋がりはずいぶん水増しされてきた。
寂しかった、とは言わない。どちらかと言えば嫌気がさしていただろうと思う。それで半ばヤケになって、私たちの将来について問い詰めた。だから、彼が困り顔で謝ってきた時には純粋に申し訳ない気持ちになったのだ。彼からそれを打ち明けられるまでの間、だが。
ほんと、信じられない。
ーー今度は宇宙へ行く、だなんて。
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