恋愛小説の新ジャンルを開拓してみました

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 ともかく。  そうは言っても今回、僕が手に入れるべき書は高尚すぎる部分も持つ。  ゆえに買うという行為が憚れる。  まあ、有り体に言えば、買うのが恥ずかしいのだ。  なので、何食わぬ顔を作り、目当ての学術書が置いてあるコーナーを流し目で探し出す。そののち目指すべき学術書がどこに置いてあるのかを目視確認する。僕の眼光はさしずめ暗殺者のそれ。鋭いという言葉が陳腐にも思えるほどのそれだ。  そうして……。  僕が探し求めた書は、その姿に堂々とした威光まとい、そこに鎮座していた。  神よ。  おお。神よッ!  と僕は書を単なる紙としてではなく崇め奉るべき存在だと認識する。  ぎこちない、かに歩きでゆっくりとそこに近づく。  誰にも気づかれてはならない。  誰にも悟られる事なく、その神々しき体躯をこの手へと収めるのだ。  そうしなければ天からの贈り物とも言える書をどこかの誰かに横取りされてしまう。  ゆっくりと目指すべき思想の深淵へと徐々に足を踏み入れる。じりじりと神の書へと近づく。手を伸ばす。そうして今まさに僕は神々しき存在と一体化したのだ。その官能的ながらも全てを拒絶するかのような人間の探究心は今の僕を形作る全てだとさえも言える。  そうして……。
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