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遂に僕は至高なる至宝を手に入れる事ができたのだ。
この手に紅玉を掴み取ったのだッ!
ただし、手にとったあと僕の怒りが噴出する。今日この瞬間が憎いと憎悪の念にかられたのだ。何故、僕がこの瞬間を憎んだのかと問われれば、それは書店の常連客であり美少女と前々から気になっていた女の子がレジへと向かう道程に立ちはだかっていたからだ。
その様は地獄の門番である三頭の狂犬ケルベロスのようにも思えてしまう。
勇気がしぼむ。
知恵が枯れる。
嗚呼、なんという童貞の悲しさよ。
自分が意気地なしで愚者だという事を痛感してしまい、童貞のせいだと心を誤魔化す。
そして、この大事な場面で彼女がいたという不幸さを呪う。
僕は運命という名の歯車で動く懐中時計を睨みつける。針は止まったままで命運は凍り付いたままだ。無論、睨みつけた所で、刻が動き出すわけもなく不運が霧散してなくなるわけでもない。ならばこのハードラックを撥ね退ける為に必要なのは勇気と知恵だ。
そして。
勇気と知恵から生まれいでる叡智へと行き着く。
太古の昔より、これらの学術書を求めさ迷ったものが最終最後に行き着く叡智。
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