【知らない方が幸せ】

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 これはワタシの知人から聞いた話だ。  仮に『A氏』と名付けるその知人は――学生時代、ワタシの同級生だった。  そのA氏は当然このような話を振って来た。 『この学校で怖い話があるって知っているか?』――と。  急にそのような話題を振られたワタシはこう答えた。 『知らない』――と。  そう――ワタシはそのような話など、一切知らない。  そのような話を聞いたこともないし。  そもそもA氏がそのような話を言うまでは、この学校に“怖い話”があることなど知らなかった。  ワタシのその言葉に、A氏は待ってました! と言わんばかりに笑みを浮かべて、 『この学校じゃあな、深夜に学校に忍び込むと別の世界に行ってしまうんだとよ』  ……思わず呆然とするようなことを言った。
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