キイテクレル?

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キイテクレル?

「おじさんは、黙っててよネ!」  わたしがそう言うと、航おじさんは「そうか? じゃあ、メシの支度でもしてくるかな」とキッチンに向かった――今はリビングに二人きり。L字型に配されているソファーの片側に、要くんが座っている。わたしの斜め前。正面じゃないから話しやすい。 「要くんってさ、高校の時あんまり学校行ってなかったって、マジ?」 「うん。マジだよ」 「へー。なんで?」 「う~ん、なんでかな? 僕もよく分かんないんだよなあ。う~ん……」  要くんは一瞬困った顔をしたけど、直ぐに『やっぱり分かんないなあ』と呟いた。あ。心がふわっと軽くなったかも……!? 「やっぱり、要くんって変な大人だねー」 「そうかな? うーん……」  怒ってもいいだろうわたしの受け答えに対しても、真剣に応じてくれる。のんびりと間延びした要くんの言動は、まるで魔法みたい。どんどんわたしの心が解放されていく。  リビングに続くキッチンでハンバーグを捏ねてる(さっき、要くんが『今夜はハンバーグなんだー!』って嬉しそうに言ってたから、多分そうだと思う)おじさんが何となくこちらを窺っている様子が感じられるけど、気にしない。寧ろ、要くんの高校時代の事を知っているおじさんにも聞いていて欲しい。 「あのね、要くん。私の友達の話(・・・・)なんだけど聞いてくれる?」 「うん。僕で良ければ、どうぞ」  ――わたしは、どうしても自分の事(・・・・)だとは言えなくて、あくまでも友達の事(・・・・)として話してみることにした。勇気を振り絞って。
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