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「友達がね、高校に入学してからずっと『なんとなくつまんない』から、学校に行くのがつらいんだって」
「へー、そうなんだあ」
「うん。あとね、『進級しないとカッコ悪いから』1年の時は、頑張って休み休みだったけど登校したんだって」
「ふーん。偉いねえ!」
「……。でもね、2年になったら、それも限界で『登校したくない』気持ちの方が強くなってきて、家族にも申し訳ないとか考えて苦しんでいるみたい……」
「うーん。つらいねえ」
わたしは、わたしの今の状況を――全てではないけど、多分、きちんと伝えられたと思う。だって、要くんの気の抜けたような受け答えやその時の仕草や視線が、とってものんびりしていて優しくて温かかったから。
「だよね? そんでね、その友達はね、そんな自分の将来が凄く不安みたいなんだ……」
一通り話を聞き終えると、いつもの口調で要くんが喋り出した。
「なんかさ、その友達の気持ち、スゲー良く分かるよ! 漠然とした不安って言うのかな、それって一番苦しいんだよなあ。そのお友達、しんどいだろうね……」
要くんの発した、その何気ない言葉の数々を心にインプットした途端、『それそれ! そうなの! そうなんだよ……』わたしの心は、もの凄く共感に打ち震えた。ああ良かった、今日ここに来て――
「僕もそんな感じだったなあ。今だって、『なんであの時学校に行きたくなかったのかを説明しなさい』って、言われたって説明できないしさあ」
……驚いた!
「えっ? それマジ?」
「うん! マジマジ」
……そうか。大人になった要くんにも、その時の感情が理解できないんなら、わたしが分からないのは当然なのかも!? そうか――なんだか少しだけ、ほんの少しだけ。心が軽くなったよ、要くん。
実際は、何も解決してないのにね?
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