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「ごめんね! 折角来てくれたのに。今日は天気が良いから大掃除してるんだよ――」
彼の名前は、鴻上 要。
どうやら、本棚を掃除している最中にうっかりアルバムを開いてしまったところ、タイミング良く? わたしが訪れたという感じだったみたい。
「全然大丈夫。何かお手伝いしようか?」
家じゃ絶対に言わないセリフも、ここじゃスルスル出てくる不思議。
「おーい! 要、誰か来たのか?」
ドンドンドンと賑やかに足音を鳴らしながら階段を下りてきたのは、わたしの叔父、鷹野 航。
「おじさん、お邪魔してまーす!」
「おう! 唯が来てたのか……って、なんだよ、全然片付け済んで無いじゃねーか、要」
エヘヘ、ごめんな。後ろ髪をクシャクシャとかき混ぜながら、要くんが謝る。すると、航おじさんが「……ま、いいけどよ。まあ、あれだ、夕食までには片せよ?」って、テンションが下がる。うふふ。おじさんは、要くんにぞっこんだし、要くんもそうだし。ステキ!
「唯、今日はゆっくりしていけるのか?」
「うん! いろいろ聞いて欲しい話もあるから、泊らせてもらってもいいかな?」
「ああ。構わねーよな? 要」
「勿論だよ! 久しぶりに飲もうよ、な? 唯ちゃんお酒強いから、僕は付き合いきれないかもしれないけど、オジサンは強いからねー!」
あはは! 要くんがおじさんにふざけて『オジサン』って言うと、必ずおじさんは眉間に皺を寄せるんだけど――多分、おじさんのその反応を見た時に要くんが見せる、してやったり! っていう何ともキュートな『どや顔』が見たくて、おじさんは毎回(眉間に皺を寄せ)不機嫌なフリをしているような節がある。
なんにしても、幸せそう!
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