ウソナキ。

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 熱々の紅茶とシュークリームを載せたトレーを持った要くんに続いて、わたしもさっきのリビングに移動した。 「次はどんな話? 僕の話は出尽くしちゃったよ?」  ほわほわと湯気の上がる紅茶のカップを手に持って、くんくんと香りを愉しんでいる要くんが少し紅茶を口に含み、『アチチ……』と言ってからカップを下ろした。そしてシュークリームに手を伸ばした。ちょっと食べ辛いみたい。クリームが零れないように……必死に戦っている姿は、完璧な容姿とのギャップで可愛いらしい! でも年齢を考えると、かなりシュールな絵面かも!? きっと、おじさんは要くんのこんなところが堪らなく愛しいんだろうなあ。  わたしも、紅茶を飲んでみた。少し渋いけど爽やかな香りが口の中に広がって、甘いシュークリームとの相性も抜群! 心が安らぐ。うん! あのことを素直に話してみようと思う。エネルギーフルチャージ! ライフポイント満タン! 「――あのね、かなめくん。さっき、わたしが『友達の話』って言った事なんだけど……」 「うん。僕みたいに、学校を休みがちな友達の事だね?」 「そう。あれって、あの……。実は、わたしの事なんだよねー」 「へーそうなんだ! じゃあ、僕と一緒だ」  仲間だな! 要くんが軽い口調で小首を傾げた。あ、一気に心が軽くなった。 「それでね、今度はわたしの話を聞いて欲しいと思ったの。聞いてくれる?」 「勿論だよ! 聞かせて欲しいな、唯ちゃんの話――」  わたし、今度は本当に泣きそうだよ。
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